事上磨練とは、陽明学的考え方の一つである。
陽明学とは、「良知」を発揮し、心の在り方を学ぶことで
一元論的な観点から生きることを原則とした、実践的学問である。
事上磨練とは、特別な学びを通じて、自分を磨くことではなく
日々の生活や普段の人間関係、職場、家庭など、ありふれた物事を通じて
心を正す工夫と丁寧に生きる努力をすることで
本質(理)を学ぶことができる、という考え方である。
崇高な理論だけ分かっていても、
日々の生活のなかで実践できていなければ意味をなさない。
当たり前と思われる出来事にこそ、本質を見続けようとすることで
内なる理(良知)が発揮され、誰もが良知から生きることができる。
事上磨練を通じて、
「自分と民は一心同体である」という境地に至ったリーダーは
エゴや権威から脱却し、常に中庸にあり、謙虚な姿勢で、
誰かや何かに依存することなく、自らを民衆の鏡として磨き続けていくであろう。
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