コミュニティデザイン


 

 

人間は、属することで自分を認識する生き物だ。

それが「人間関係」であり

人間関係の根源は「家族関係」である。

 

3.11以降、「地域」「繋がり」「コミュニティ」「絆」

といった言葉が、日本中で飛び交うようになった。

これまで、「当たり前」とされていたことが

津波と地震の轟音と共に、音を立てて崩れ始めているのを目の当たりにして

「これは事実なんだ」と、認識し始める人たちが増えてきている。

 

目の前で起こっている出来事は、

テレビやネット上だけの話ではなく現実的に、今この瞬間、日本で起こっていること。

これまで社会に委ねていたゆえに見てこなかった、見えなかった世界の真実を今一度

一人ひとりが思い出していく時代に差し掛かっている。

 

「正しさ」を軸に追求されてきた社会から、「心地よさ」を軸にした新たな社会へ。

新しい社会の在り方は、一人ひとりが、やりたいことや自己実現を基軸とし

感情の分かち合いを生み出す豊かなコミュニケーション力、

そして、誰もがお互いを近く感じることのできる、新しくも、懐かしい世界観にある。

 

時間の早さが、3.11から変わったように感じるのは

少し前のことが、遥か昔のように描写されるから。

時代の変化のまっただ中に、僕らは今生きている。

コミュニティを通じて、時代と自分を思い出すこと。

そして、必要な存在を生み出す行為としての「デザイン」を施していく。

 

町を知り、歴史を知り、人を知り、そして、本来あるべき姿の未来を描く。

そんなコミュニティデザインの旅へ出よう。

 

【目次】
コミュニティの定義

コミュニティをよくする3つの視点

コミュニティの原則

コミュニティデザイナーの役割

地域のことは地域がする

地域活性に必要なファシリテートを学ぶ

言語が生まれると文化が生まれる

地域の拠点をつくる

シニアを活かす

 

コミュニティの定義

コミュニティとは、家族、職場、友人、趣味仲間など、特定の集まり。

居住地域を同じくし、利害をともにする共同帯であり、

町村・都市・地方など、生産・自治・風俗・習慣などで深い結びつきをもつ共同社会でもある。

コミュニティには、必ず「共通言語」が存在する。

言語とは文化であり、文化とは継承される歴史。古きと新しきが融合する、川の合流地点のようなもの。

人々は、無意識にそこに集落をつくり、生活を始める。

人が集まるからコミュニティができるのではなく、「コミュニティ」が人を求めるから、自然と人が集う。

そんな目線でコミュニティをデザインしていくときっと新しい発見がある。

コミュニティデザインとは、目にみえないものと見えるものとの「橋渡し」

 

コミュニティをよくする3つの視点

コミュニティをよくするには、以下の3つの視点がある。

1.コミュニケーション能力の向上

 

2.(個人)自己実現、やりたいことへの挑戦/成長

3.(全体)共通ビジョンの自然発生

地域とは、人であり、そこに住む人々の生活そのもの。

人々の生活をデザインすると、自ずとコミュニティが生まれ、活性化していく。

人が集まっていても、コミュニティがない地域には、「コミュニケーション」がない。

まずは、コミュニケーション能力を向上させること。

それは、日々の挨拶から始まり、より生活に密着した言葉に変化する。

「おかえりなさい」「ただいま」「いただきます」「ごちそうさま」

そんな言葉のあるコミュニティは、居心地がいい。

生活レベルのコミュニケーションが生まれ始めたら、次は、各々の自己実現にフォーカスする。

 

やりたいことを基軸にしたコミュニティつくりと、その為に必要な

ワークショップやフィールドワークの「フレームワーク」を地域の住民に伝授し

住民自ら情報発信や必要な資料やパンフレットをデザインできるようになることで

「循環する地域コミュニティ」が生まれる。

「みんなで何かを」の前に、「自分がやりたいこと」を見つけること。

住民一人ひとりのやりたいことが、みんながよくなること

地域がよくなることにリンクしていると、自然とコミュニティが動き出す。

地域の中で「本当はこうしたらいい」、「ここはもっとよくなる」っていうのは、実は住民自身感じていることが多い。

でも、地域がよくなることが自分のこととして生活にリンクしていることや、

一人ひとりが自己実現ができるということが体感できていないと、その想いや構想は、夢物語で終わってしまう。

コミュニティとは、「全体」を指すものではなく、そこで生活している「一人ひとり」のことを指している。

一人ひとりのやりたいことや、自己実現を突き詰めると、自然とその土地の声が聞こえる。

 

本来の地域の姿、コミュニティの姿を一人ひとりが自然と見いだすタイミングが出てくるまでは、

共通のビジョンを作ろうとしなくてもいい。

ビジョンには、描くものという側面と、思い出していく、という側面がある。

理屈やメリットで作り上げたビジョンよりも、自然発生的に生まれた共通のビジョンは、

コミュニティ内に、長く、深く、地域に根ざしていき、外部に対してもPR効果をもたらす。

ビジョンの共有ができれば、お互いをもっと近い距離に感じることができるし、自分も地域も大切にできる。

ビジョンが、地域の方向性を示すコンパスになる。

 

コミュニティの原理

コミュニティは、

「成長(縦軸)」と「繋がり(横軸)」で形成されている。

成長軸は、男性的な、成長や自己実現、リーダーシップ。

繋がり軸は、女性的な、安心感、信頼関係、育む。

多くのコミュニティがうまくいかないのは、繋がり軸が重要視されすぎているから。

繋がり軸に偏ると、古い教えや既成概念にとらわれやすく地域全体が停滞してしまいがち。

また、繋がりから始まったコミュニティに、成長や自己実現を促すのは至難の業。

繋がりを重視していた地域が、成長へと移行していく段階で

変化に対する抵抗が生じることや、伝統を重んじるばかりに、新しい文化を生み出しづらくなる傾向がある。

理想のコミュニティ形成の一つの方法としては、「この指とまれ」という誰かの呼びかけによって

自己実現や成長、ビジョンに共感した人々が自然と集まり、成長軸を重きにおいて、繋がりを育んでいくこと。

自己実現、自己表現という人間の究極の欲求が満たされる可能性が示唆できると、コミュニティは、自然と自走し始める。

ただし、あまりに成長を促進しすぎるのも禁物。

「縦軸だけだと崩壊し、横軸だけだと停滞す」この言葉を胸にきざんで欲しい。

また、関係性は、常にバランスを取りあう。

誰かが自律的になると、誰かが必ず依存的になり、誰かがポジティブになると、誰かがネガティブになる。

コミュニケーションの原則を学ぶことは、地域を知ること、相手を知ること、強いては自分を知ることにも繋がっている。

「コミュニティをよくするために」ではなく、「わたしが、わたしにできること」をする

その結果、コミュニティが成長していく実感を地域住民が体感することができ、

尚かつ、具体的なアクションプラン、ビジョンが生まれ、最終的には、持続可能な仕組みができる。

そんなプロセスを経て、コミュニティは変化していく。

 

コミュニティデザイナーの役割

地域は、どんな現状があるのか。それをまず知ること。

写真をたくさん撮る。地域の人の声を聴く。地域の名所を回ること、隠れた名所を探すこと。

ガイドブックをもたずに、自由に町を歩けば、地域の生活がみえてくる。

コミュニティデザイナーの最初の仕事は、徹底的なヒアリング、リサーチから始まる。

デザインをするには、町を知り、歴史を知り、人を知ること。

数多のコミュニケーションを通じてのみ育まれる、感性を感じること。

アーティストは、自分のwantから生み出す表現をするが

デザイナーは、相手のニーズにそって最高のデザインをする。

 

地域のことは、地域がする

地域をよくしていくには、外部の人に任せるのではなく、地域の一人ひとりが情報を発信できるようになること。

「当事者の声」が、地域の生きる声になる。地元の農家から農家へ。商人から商人へ。

成功した団体が、地域の中の同じ団体、個人にアドバイスする。

「地域のことは、地域(の人)」がする」ことで、本来のその土地のよさ、人のよさが引き立つ。

最初は、地域活性において必要とされるスキルが足りなかったとしても、

地域(コミュニティ)と人が今できることから、一歩一歩はじめていく。

地域が身につけていく必要があるスキルがいくつかあることも事実であり、課題である。

地域活性のために外部の人が来ても、その人たちがいなくなるとうまくいかなくなるのが、お決まりのパターン。

外部の人に対して渡すフィーを、地域に流すことで地域の人材に教育と成長のきっかけを与え、

地域のなかで循環する仕組みをつくると、地域が地域のためにできることが増える。

 

地域活性に必要なファシリテートを学ぶ

ワークショップの形式を知ること、学ぶこと、体験することで誰でもファシリテーターができるようになる。

住民の中から、ファシリテーターが生まれ、議事録やwebなどを作れるようになると、より地域の声が直接反映されやすくなる。

また、必要に応じてワークショップなどを開催し、交流や学びの場を提供することもできる。

地域の人の中で、「○○といえば、○○さん」という認識が生まれれば、しめたもの。

住民一人ひとりが自分の役割をみつけ、「自分にできること=地域貢献できること」となり、

どんどん循環する地域になる。

そんな成長を促す為に、ファシリテーターとリーダーを分けること。

ファシリテーターは、繋がりをつくる人。

リーダーは、成長をつくる人。

地域によっては、両方を一人が担っている場合もあるが、

本来は分かれている方がよく、必ずどの地域にもそんな人材が隠れているので、探してみる。

リーダーとファシリテーターを中心に、日々の生活のシェアや既に持っている資源を顕在化すると、

無限の組み合わせが生まれ、おもいがけないコラボやコンセプトが生まれる。

 

共通言語が生まれると、文化が生まれる

地域には、必ず「共通するもの」が存在し、特通の言語が生まれると、文化が生まれる。

例えば、「地域の野菜をつかった丼もの」を開発するという言葉が生まれれば、その言語に適応した特産品や名物が生まれる。

そして、文化は地域に継承されていく。

文化をつくりたければ、言語を生み出せばいい。

言語の生み出しは、一人ひとりのコンセプトの「同じ」と「違い」を共有しあうことから始める。

顔の見えるネットワークをつくっていくことで、信頼関係を築き、

同じ情報でも「この人が言っているから信頼できる」、「あの人が言うならやってみよう」といった連携が生まれる。

 

地域の拠点をつくる

井戸端会議できる場所、共通の想いをシェアできる場所があると、

必要な繋がりや、縁を育むポータルコミュニティスペース(地域の拠点)があるとよい。

例えば、東京ではシェアハウスをそのスペースとして活用している。

必要な資源(人・モノ・金・情報・時間)が集まることで、自ずと地域の声や外部からの視点に気づける。

 

シニアを活かす

地域において、蚊帳の外にされがちなのがシニアの存在。彼らこそ、地域の財産。

豊富な経験と知恵、そして地域の変化を体験してきた。

彼らの多くは、何かをしたくてうずうずしている。しかも、時間的、経済的ゆとりをもって。

肩書きを与えよう。

「釣り名人」でも、「将棋の先生」でもいい。

人にとって、「誰かに貢献できること」「感謝されること」は、そのまま、「生き甲斐」に繋がる。

コミュニティデザインの源流であり、

一番新しくて、一番古いかもしれないネイティブアメリカン(ラコタ族)の言葉を引用する。

 

「年長者と子どもたちを離してはいけない。
 彼らを引き離すことは、過去と未来を断つことと同じだ。」 

 

地域に眠る「シニア」を活かすこと、地域の過去と未来を繋げることも、コミュニティデザインの一つ。

 

民間と行政の連携

民間と行政の連携も、地域デザインには欠かせない。

事実、国はお金の使い方がわからない。だから、「ここにお金を渡せば安心だ」と

想われるような事業設計をすれば、地域に必要な助成金などを申請することができる。

ポイントは、

「あなたたち(国)からお金をもらわなくても

わたしたちは、既にやっていますし、これからもやります」

といった姿勢をみせること。

 

 

(2011.9 月のメモより)

 


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