自由な人とは、恣意的な我欲によらず意志する人である。
彼は運命を信じ、運命が彼を必要としていると信じている。
運命は彼を束縛せず、彼を待ち受ける。
彼は運命に向かって進まなければならない。
だが彼は、運命がどこで発見できるかを知らない。
しかし、彼は自分の全存在をかけて出かけなければならないことを知っている。
事態は彼の決意通りに行かないものだが、到来する事態は彼が意志し、
得るものを決意するときにのみやってくる。
彼は物質欲と本能に支配されている自分の些細で不自由な意志を、
大いなる意志に捧げなければならない。
それにより宿命に支配されることはなくなる。
彼はもはや口出ししない。
しかし、同時に、物事が起こるにまかせることもしない。
彼は自己から生まれるもの、世界の存在の推移に聞き入る。
それによって支えられるためではなく、
それが望む現実にそれを導くために。
『我と汝』ブーバー
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ブーバーは、自由な人間とは運命、つまり我々を必要とする運命を信じるが、
それがどこにあるのかは知らないと仮定して論を進める。
運命を見つけるためには、進んで未知の領域に入り、
「われわれの全存在」をかけて出て行く覚悟がなければならない。
運命は犠牲を求めることもある。
これは単に何かをもくろむことではない。
それを実行する完全な意図を持って、
出現したがっている世界の中の存在に聴き入ることである。
ひとたびそれを始めたら、我々は注意深く意識を向けなければならない。
( U理論 p.260より抜粋)
①天命を知る(Calling)
物語の始まりは、突然訪れる偶然の一致(シンクロニシティ)や理由の分からない衝動。
日常の中で、「変化したい」「変わりたい」と思った瞬間に、必ずその前兆は訪れます。
誰かとの出会い・別れ、直感的に受けとるメッセージ、予想もしなかった出来事、、
何かのきっかけで、あなたは、旅のはじまり(自分の生きる意味や役割)と出会います。
②決断して旅を始める(Commitment)
あなたは、前兆に気付きながらも、すぐに旅に出ようとはしません。
「なんの意味があるんだろう」「本当に旅に出ていいのだろうか」「今の生活はどうするんだ」、、
様々な思考が絡み合い、多くの場合、前兆に従って生きることを躊躇してしまいます。
そこで初めて、自己との対話・他者との対話の必要性が生まれ、自分の弱さを痛感することになり
結果的に、それがあなたを旅へと踏み出させる一歩目となります。
人は誰しも変化に対して抵抗感を覚えますが、実はこの抵抗感こそ
今ある現状維持(コンフォートゾーン)から抜け出し、新しい世界を生きる最大の鍵になります。
③境界を超える(Threshold)
旅に出た主人公ですが、必ず最初の試練にぶつかります。
人によって、人間関係だったり、仕事だったり、お金だったり、健康だったり、過去の出来事だったり、未来への不安だったり。
あなたが本当に新しい世界へと踏み出す覚悟があるのかが、試されるのがこの試練です。
「もう過去には戻ることはできない。それでも前に進むのか?」
ということを、自分自身に許可できて初めて、本当の旅が始まります。
ここで、元いた場所に戻ってしまうと、また新たなcallingを待つことになってしまいます。
④メンター・仲間との出会い(Guardians)
旅が始まると、今までにない経験・出会いが、次から次へとやってきますが、
その中で重要なのが、メンターや仲間との出会いです。
メンターや仲間との出会いがない場合、まだあなたの旅は、越えるべき境界線を越えていないのかもしれません。
この出会いが、あなたを今までにない、圧倒的な速度と質で成長させていきます。
⑤最大の試練とぶつかる(Demon)
旅を続けるあなたは、ついに最大の試練とぶつかります。
あなたにとって、最も受け入れがたいこと。
それは、あなたが一番愛したいと心の底で望んでいた、あなた自身の真の姿でもあります。
両親であったり、パートナーであったり、子どもであったり、上司であったり、
はたまた、これまでずっと慕っていたメンターであったり、、
あなたの真の姿を現すために、あらゆる出来事があなたのために起こります。
⑥変容・成長する(Transformation)
最大の試練を克服したあなたは、真の意味で、自分の役割や存在の意味を知ることになります。
あの時、calling(前兆)に従っていなければ、今のあなたはいなかったでしょうし、
あなたと共に旅をした人達(多くの場合、パートナーやクライアント)との成長や絆も生まれなかったでしょう。
ここで生まれた新たな気付き、感覚は、あなたの次への旅へと繋がっていきます。
⑦試練の達成(Complete the task)
試練を達成し、変容したあなたは、今までの自分の人生を振り返り、その意味を悟る期間に入ります。
仲間との出会いの完璧さ、出来事の起きるタイミングとその意味の深さ、
あらゆるものが、自分自身にとって最善に準備されていたことに気付き、改めて感謝することになります。
ここで行き着いた答えこそ、あなたの求めていたものの答えであり、他でもないあなたそのものです。
⑧帰還(Return home)
そして、旅を終え、あなたは元いた世界へと帰還し、物語は幕を閉じます。
一番欲しかったものは、実は既に最初からあった、ということにも気付くでしょう。
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