日本の現状をどのように捉えているのか。どのような政策が国に求められ、心構えが国民に求められるのか。


 

日本の現状を考えた時、資本主義から自然主義への移行期ではないかと捉えている。限界の見える市場主義的経済成長を追い求めるのではなく、限界のない精神的成長、つまり人間の基本的欲求の一つでもある「己が何者であるのか」を自覚する教育を軸にした文化大国としての側面と、自己の欲求に囚われない利他の心を兼ね備えた人材による、地球規模での全体調和を目的とした、社会・経済・政治・芸術活動を行う文明大国としての両立である。そのような社会を構築するために、善悪という二元論的な思考だけで物事を判断せず、一見矛盾しているように見える出来事や考え方の中にある理に気付き、行動できる次世代リーダーの輩出が課題であると考える。

上記のような人材育成と社会構造を構築するために、国はどのような政策を提言・実行すべきか。まず、政治においては、政治家の年齢を18歳〜60代までとし、国会・地方議会において年代に偏りがなく幅広い世代が政策決定過程に参加できるような制度を作る。70代以上の世代は国政から身を引き、これまで培ってきた経験や知識を還元する先を、国から地域へとシフトし、次世代育成を主たる役割と自覚していく。その為、投票権も15歳まで引き下げ、国政を行ってきた人材が責任をもって地方の担い手を育てていくことを目指す。次に、経済分野においては、自国の資源を活用し、継続・発展できる範囲での経済モデルを中心に据え、海外の資源に頼らないと実現できない技術や生活を追い求めるのではなく、各地域の風土に根ざした経済活動を発展させ、結果として日本全体が豊かになるようなシステムの構築を目指す。このような新しいシステムの長期的な構築によって、先進国や軍事力のある国への資源集中を防ぎ、各国の特色を生かした観光や文化の魅力が、国同士の平和的な競争力を図ることが可能であることを示していきたい。そして、教育分野においては、自国や自分が生まれた地域の歴史・文化・伝統、人間の心・生き方、世界の成り立ち(政治・経済・哲学・芸術)を中心に学び、単なる知識の詰め込みではなく、体験を通じて自己知(personal knowledge)として知恵を身に付けていく教育制度を提案したい。教師は、各分野で経験を積んだ人材を中心に、学び手が尊敬の念を持って授業に取り組めるよう魅力ある人材を採用することで、最も尊敬される職業として再認識されるだろう。自発的に学び、創造していく喜びを知らない人間は、人を育てることができないため、受動的な教育は10代のうちに完了させ、20代以降は自ら多様な問いを投げかけ合い、仮説設定・仮説の検証・改善・次世代継承というサイクルを基本とした人間関係構築力と環境構築力を作り上げるようにしていきたい。

上記のような循環型の経済活動はまさに自然の基本原則であるが、その根底にあるのは、信頼関係である。人と人が信頼し合わなければ、どのような制度や仕組み、技術を持ってしても本質的な平和や持続的な活動は不可能である。まずは、自分から調和に向けての小さな一歩を踏み出し続ける日本人の復興を目指していきたい。

 

 

SBI大学院大学 経営管理研究科 アントレプレナー専攻 入学論文
2015年2月15日
吉武大輔

添削 juichiro tanabe

 

吉武大輔

 

 


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