子育てとシェアハウス


 

(2014年11月の弊社スタッフ 登の投稿を添付します。)

 

株式会社 Community Consulting Japanの登彦雄です。

 

COCO JAPANは、

「多世代が共生できるコミュニティを関わる人と一緒につくりたい。

そしてそのコミュニティを、一人ひとりで活かし、育てて欲しい」という願いの元

弊社の理念の一つの手段として、シェアハウスという事業をしています。

 

COCO JAPANではシェアハウスを

「一時的な仮住まい」としてではなく「コミュニティの受け皿」「生活の拠点」として定義しています。

各々の経験、価値観、ライフスタイル、人生を共有する場でもあると考えています。

だから、入居者のことを「家族」と呼んでいます。

日々、そこへ共感してくれる人を家族として迎えたい、という想いで活動しています。

 

最近、COCO JAPANや家族がの掲げる価値観、ビジョンに共感し入居を決めてくれた人がいます。

お子様のいる、シングルマザーの方です。

COCO JAPANの家族は単身者ばかりで、子育ての経験もなければ、子どもと接する機会もあまり多くはないと感じています。

そこに親子が来るという事は、今の家族にとっては、これから経験するであろう

結婚、出産、子育てを経験した人と関わりを持てる、ということになります。

 

また、「結婚=シェアハウスを退去する」がシェアハウス業界で主流の価値観としてある中に、

新しい価値観を加えることにもなります。

なので最初はとても、嬉しいことでした。

家族と一緒に、その親子を迎え入れるため、交流を図りお互いの理解を深め合うことをすすめ、

引越しにむけての準備をしていました。

その矢先に、法制度上クリアにしなければならないことがある、ということが分かりました。

 

それは児童扶養手当法というものです。

 

児童扶養手当法は母子家庭、父子家庭の経済的な安定と自立を助け

それをもって子ども達の福祉を増進することが目的の法律です。

そのため、一定の所得額以下の片親の家庭に支給される手当て金について、様々なことが定められています。

どのような時に、手当て金が支給されるか、または支給されなくなるか。不正に受給した時のことなど。

この親子は今回、シェアハウスに引っ越すにあたって転居をするので、転居先の自治体へ受給の条件を聞きに行きました。

その結果、シェアハウス(今回の場合)へ転居したら、受給資格がなくなる、と回答されました。

理由は未婚の男性との「同居」を「事実婚」と見なすため、だそうです。

それが理解できませんでした。

なぜ、そのような回答になったのか。自治体の窓口まで詳しく話を聞きに行きました。

児童扶養手当法の次のところに違反するようです。

 

第3条第3項
「この法律にいう「婚姻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含み、「配偶者」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含み、「父」には、母が児童を懐胎した当時婚姻の届出をしていないが、その母と事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含むものとする。」抜粋
第4条2項7号
「前項の規定にかかわらず、手当は、母に対する手当にあつては児童が第1号から第8号までのいずれかに該当するとき、父に対する手当にあつては児童が第1号から第4号まで又は第10号から第13号までのいずれかに該当するとき、養育者に対する手当にあつては児童が第1号から第7号まで又は第9号のいずれかに該当するときは、当該児童については、支給しない。」抜粋
7号
「母の配偶者(前項第1号ハに規定する政令で定める程度の障害の状態にある父を除く。)に養育されているとき。」抜粋
以下、関連法規、政令のリンクとなります。
児童扶養手当法全文
http://www.houko.com/00/01/S36/238.HTM#s1
児童扶養手当法施行令
http://www.houko.com/00/02/S36/405.HTM#001
中野区児童扶養手当法施行細則
http://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/…/reiki_…/aq60013001.html

 
窓口の担当者のお話では「事実婚」として認定される、以上の回答は頂戴できませんでした。
丁寧に様々な事例を検討し、どうすれば受給資格が無くならないか、一緒に考えてくれましたが、

やはり「事実婚」にあたってしまうとのことでした。

話を聞く限り法令、政令等で明記はされていないようですが、

区議会や都議会で法令の解釈をした上で、法令を施行しているようです。

 

COCO JAPANは、これらの取り決めは、

児童扶養手当の不正受給を未然に防止するためのものであって、

多数の人間が共同生活をするシェアハウスに適応されるのには疑問が残る、と感じています。

ですが自治体の取り決めがある以上、シェアハウスへ入居すると児童扶養手当が支給されなくなります。

そうなってしまっては、生活が大変になります。

なので、今回のケースではシェアハウスへの入居は諦めることにしました。

おそらく、COCO JAPAN以外でも、こういうケースが他にあると想います。
今回の件を通じて、COCO JAPANは「生活の拠点」を提供するものとして、

このことについて、どう向き合えば良いのか考えました。

疑問を疑問のままにして良いのか?

 

夫婦の離婚率は年々増加しています。

そうでなくても、明日あなたの配偶者が突然の事故で亡くなることもあるかもしれません。

結婚しても、子どもが生まれても安心して住めるシェアハウスをつくりたいのならば、

考えなければならない、との結論に至りました。

行政書士、弁護士、シングルマザーの支援をする団体、その他、多くの子育てに関心のある方、

また他のシングルマザーにもこの疑問を投げかけました。

皆様、自分ごとのように真剣に考えてくださっています。

他のシェアハウスでの事例のこと。

法律の解釈についてのこと。

行政へどのように働きかければ良いかなど。

解決のために、この親子のために、沢山の情報と知恵と力を貸してくれました。

 

それは、このことを「他人事」ではなく「自分自身が」いつでも「当事者」になる可能性があること

として捉えてくれている人が、それだけ多くいることの表れだと思います。

 

COCO JAPANはこの疑問を、疑問のままにせず、今一度みんなで考え直す必要があるのではないか?と感じています。

受給の要件が緩和されれば、それだけ不正に受給しやすくなる可能性もあります。

でも緩和されなければ、この親子の後ろにいる、何百、何千という母子家庭、

父子家庭の親子のライフスタイルが制限されてしまうことにつながりかねない。

何が正しくて、何が間違っているかはわかりません。

不正受給の温床を作ることにもなりかねません。

ライフスタイルの選択肢を広げることにもなるかもしれません。

 

ですが、制度はただの制度であって、それを利用する人間に悪意があれば

どんなに完璧に見える制度でも悪用できる可能性があります。

甘いことを言っているのかもしれませんが、COCO JAPANは人の善意を信じたいです。

なので、このことについて、一緒に考え、取り組んでくれる方を求めています。

時間はかかるかもしれませんが、この疑問に対しての自分たちなりの答えを見つけ、実現したい。と強く、強く思っています。

このことに関して、今後何か変化があった場合、随時報告させてください。

そして、どんな些細なことでも良いです。力を貸してください。

そして、ココジャパンがしていることがおかしいのでは?と思うことがあれば、

遠慮なく伝えてください。それは我々が道を踏み外していることなのかもしれません。

だら、このことについて、広く皆様の意見をお聞かせください。

感じたことをありのままお伝えください。「これからの未来」を一緒につくってゆきましょう。

COCO JAPANは全ての人が、もっと自由に、生き方も、働き方も、住まい方も、遊び方も、

選択できる未来をつくれることを願っています。

 

 

(2015年1月の投稿)

株式会社 Community Consulting Japanの登彦雄です。

昨年、子育てとシェアハウスについて投稿させていただきました。

沢山の反響やご連絡を頂き、心から感謝しております。

 

さて、先日の東京新聞でひとり親のシェアハウスと児童扶養手当について

記事になっていたのでご紹介させていただきたく思います。

———–以下東京新聞様記事より引用———

女性は離婚後、手当を受給。その後いったん実家に身を寄せた間は受給せず、シェアハウスに入居した昨年四月に再申請した。当時も二人の独身男性がいたが、市の担当者が現地を確認して「ひとり親」と認め、二つの手当で月に計約四万三千円の支給を受けた。
ところが、今年十月になって市が都に別件の問い合わせをした際、キッチンなどが共用の建物では居住者全員を同一世帯として扱う、と指摘された。
市は女性に「同一住所に親族以外の異性がいることによって、支給要件を満たさなくなった」と通知。十一月二十一日付で「過誤払金」として支給済みの約六十二万円の返還を請求。ただ、市の判断で支給していたため、返還は「任意」とした。
市の担当者は「事実婚でないという女性の主張は本当だと思うが、やむを得ない」。都は「異性と住所が同じなら、同一世帯ではないことが客観的に証明されないと受給対象から外れる。シェアハウスだからだめだという話ではなく、各区市で判断してもらうことだ」としている。

————引用終了—————–

 

この部分を読んで感じた事ですが、東京都も国立市もお互いに責任の所在を曖昧にしあっているように感じました。

新しいことをする、例外をつくる、ということは、慎重に行うべきですし、それ相応の責任が伴うのもです。

そして、このようになってしまうのだろう、と思います。

でも誰かが悪い、ということは、全く無いです。

制度上のこと、実務上のこと、社会に与えるインパクトのこと、環境の変化、習慣の変化、そこに関係する人々の姿勢、、、etc

様々なことが重なり、現状をつくっているのだと思います。

その現状には全員が納得する「正解」は無いのかもしれません。

その時の「最適解」と思われるものを決めることしかできないのだろう、と思います。

この一件で児童扶養手当法の解釈が変わり、シェアハウスでも手当て金が受給可能になった場合

一定規模の市場を生むことが予想されます。

ひとり親世帯がシェアハウスの「顧客」になり得るわけですから。

シェアハウス業界の市場規模拡大につながります。

そうなると次に予想されるのが、「貧困ビジネス」にされてしまうこと。

「手当て金と同じ額の家賃を設定し、振込み日に家賃を引き落とす。」

たったこれだけでひとり親世帯から児童扶養手当金を業者が手に入れることができます。

不動産賃貸で弱者になりがちな一人親世帯の弱みつけ込めば、そう難しいことではない、と思います。

現に生活保護受給者、年金受給者、低所得者に対して行われていることです。

どような理念や、理想を掲げ世の中を良くしたい。と願っても、悲しいことに、それを悪用する人間は一定数います。

これらを踏まえた上で、現状考えられる「最適解」はなんだろうか?と考えることが我々に求められているのではないでしょうか。

 

COCO JAPANは、coco houseに住みたい、家族に関わりたい、住んでほしい、関わってほしい、

と思う人に対してのハードルは取り払いたい、と考えています。

その視点から見た場合、シェアハウスで児童扶養手当金が受給されなくなる=ハードルが高くなることです。

一方でそれに伴う、負の面もあります。

何が正解なのか、はわかりません。

ですが、COCO JAPANは何を「理想」としたいのかだけはぶれずに持ち続けたいです。

家族の中にも、出産、育児、子育てに対して関心の高い人達がいます。

子供も安心して暮らせる家をつくりたい、と思っている家族がいます。

無責任かもしれませんが、世の中で起こること全てには手がまわりません。

今、目の前にいる家族の言葉に耳を傾け一緒に何をするか、しかできません。

子育てとシェアハウス、については歩みはゆっくりになるかもしれませんが、今後も向き合い、考えて行きたいと思います。

 

株式会社 Community Consulting Japanへの問い合わせや提案はこちらから

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です